この楽曲は、スウェーデンに移住する直前の1854年に作曲され、1855年に3つのサロン風ポルカと同時に出版されました。
「詩的な・・」というタイトルからも想像できると思いますが、語るような雰囲気のある、素朴な、でも味わい深いポルカです。
この第2曲 ト短調は、しみじみと物悲しい旋律を歌い上げ、途中ではまるでバッハの楽曲のように声部が入り組んで絡まり、このCDのメインテーマである「夢」の中の「第2曲 コンソレーション」のように、弦楽四重奏のような室内楽をそのままピアノ楽譜に埋め込んでいるかのような部分も登場します。
スメタナは「ポルカ」を沢山残していますが、どれも小品だからといって演奏上弾きやすいと言う印象はありません。
まるでショパンの「マズルカ」のように、芸術的な演奏会用の作品へと高めようとしたかったのではないかと思います。
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ここでまた昔話を1つ・・
当時、プラハ音楽院の学生だった頃は、朝から学校で練習して、朝9時からのレッスンがあり、ソロのほか連弾も見てもらっていたので、毎回あっという間にお昼の12時になってしまいました。
街のいたるところの教会の鐘の音が鳴り響き、熱の入ったレッスンはお開きに。
プラハの街の中心にある旧市街をぶらぶら歩いて帰るのですが、時には先生とそのままランチをしたり。
川辺やお城のCDショップまで出向いたり・・本当に幸せな留学生活でした。
そして、石畳の街を歩きながらよく音楽を聴きました。
スメタナのポルカは、チェコの街に本当によく似合います。
日本の都市部にずっと住んでいたら、私はこんな風には素直に感じられなかったかもしれません。
プラハの町並みや風景には、音楽がすっと溶け込むのです。
また、プラハから少し郊外に行くと、どこまでも広がる大草原に羊がぽつぽつと・・
黄昏時に散歩しながら、川辺を歩いたり。
そういった風景一つ一つが私の体に染み込みように浸透していって、今のスメタナを演奏する私を作ってくれているのです。
チェコという国で音楽を学ぶことが出来て、今もこうして演奏を続けることが出来ていることに感謝したいと思います。